目次
(1)解雇された理由を確認すること
ある日突然解雇を言い渡されたら誰でも茫然自失になってしまって何も考えられなくなりますが、基本的に有効な理由が無ければ法律上できないことですので、まずは理由を確認することが大切です。
万が一理由が無ければ無効になる可能性がありますので、理由も分からないまま受け入れないように気をつけましょう。
何らかのミスをしたり勤怠状況が思わしくなかったりと労働者側に問題があるケースでは、仕方のないことだと受け入れることが多いのですが、中には何もミスをしていないのに解雇と言われることもあります。
主に会社の経営上の必要性からなされるものであり、完全に会社都合です。
会社都合によって行う場合には4つの要件を満たしている必要があり、許されるケースはかなり限定されます。
条件として、
- 経営上の必要性があること
- 解雇を回避するための努力を会社が尽くしていること
- 人員削減の必要性があること
- 手続きが相当であること
が挙げられます。
これらを満たしていなければ会社都合によって行うこともできませんので不当です。
早い段階で理由を明確にしておくと後々争うことになった時に有利になりますので、会社側に質問することを忘れないようにしましょう。
(2)納得していないのであればサインをしてはいけない
納得がいかない状態で話し合いとなり、その場で誓約書にサインを求められることがありますが、納得していないのであればサインをしてはいけません。
同意を得てしまえば会社の思い通りに進むことになり、誤りだったと気付いた時点で撤回しようとしても非常に困難です。
何も考えられない時に裁判のことまで考えて行動するべきと言うのは酷な話ですが、同意をしてからでは手遅れだということを理解しなければなりません。
受け入れられない時には、労働者側に非は無かったことを客観的に示すための証拠を揃えておきます。
たとえば、タイムカードの写しを用意して勤怠に問題がないことを証明したり、業務記録を用意しておくのも効果的です。
日頃から不当な扱いを受けている人は、上司との会話を録音することや言われたことなどをこまめに記しておくと役立ちますので実践しましょう。
すぐに労働基準監督署に相談に行けば会社に対して指導や勧告を行ってくれて、それだけで決定が覆ることもありますが、取り消しをさせる強制力はありませんので争うなら裁判へと移行します。
(3)解雇が有効である場合に注意したいこと
解雇が有効である場合に注意したいこととして、会社から支払われる手当があります。
対象者には少なくとも30日以上前に伝えなければならないという決まりがあり、予告をしない場合には30日以上の平均賃金を手当てとして支給しなければなりません。
つまり、通知もなくいきなり告げられた場合には、30日分の平均賃金を受け取れるということです。
ただし、予告もされず、手当も受け取っていないので解雇は無効だろうと考えるのは間違いであり、無効となるわけではないことに注意しなければなりません。
予告をしてから30日後か、あるいは予告手当を支払った日の早い方で成立します。
労働者側から見ると30日間の猶予が与えられている状況ですが、すぐに次の職場が見つかるとも限りませんのでかなり厳しい状況だと言わざるを得ません。
まだ言い渡されたばかりで何をしたら良いのかが分からないという時には、まずは会社と話し合うことが大事です。
何度も話し合いをしていくうちに会社側の意図が見えてくることもありますし、気持ちに区切りがつくこともあります。
納得できないまま受け入れてしまうのがもっともやってはいけないことであり、争う可能性がある時には特に慎重な対応が求められます。
(4)労働問題に詳しい弁護士に依頼するのが安心
労働者が自分で対応するのには限界があり、会社に言いくるめられてしまうことも多いので、交渉が長引いてきたら労働問題に詳しい弁護士に依頼するのが安心です。
法的な問題は、やはり専門家に任せるのが一番です。
会社側も、労働者が直接交渉するのではなく弁護士に依頼すれば曖昧な対応を取ることができず、しっかりと向き合うようになります。
向き合うことすら拒絶する会社も多いので、行き詰まってしまったら信頼できる弁護士を探して相談しましょう。
日頃は冷静な人でも、ある日突然解雇だと言われたら慌てるのは当然です。
何も考えられなくなって、その場でサインを求められたのでついサインをしてしまったというケースも少なくありません。
会社の決定には必ず従わなければならないと思い込んでいる人も多いのですが、それが不当な決定なのかを考えることすらせずに受け入れてしまうのは問題です。
(5)まとめ
経営が傾いてしまって仕方のないケースもありますが、きちんと条件を満たしていないのに会社の正当な権利であるかのように告げられることもあります。
労働者は自分を守るために対処法を知っておかないと、いざという時に言いなりになって困ることになりますので、ある程度の知識を身につけておく必要がありますし、当事者になったら言われるがままにサインしないことが大切です。
最終更新日 2025年7月31日 by urisysym