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2019年から施行が始まった働き方改革関連法は一体どんな法律なのか

働き方改革関連法の主な3つの柱

2018年の通常国会で成立した働き方改革関連法は、2019年4月から施行が始まり、5年後の2024年4月に全面施行される予定です。

この働き方改革関連法という名称は通称で、正式には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」といいます。

中身は労働基準法や労働安全衛生法をはじめとする8本の労働関係法規を改正するもので、主な柱は3つあります。

 

⒈改革の総合的・継続的な推進

1つ目は「改革の総合的・継続的な推進」で、これを実現するために雇用対策法を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」という名称に変更して、労働政策に関する基本法であることをわかりやすく示すとともに、内容についても国の労働政策の基本的な考え方や目的を明記するとともに、それを実現するために国が講じるべき施策や事業主の責務、および労働政策の基本方針の策定方法などを定めるものに変更しました。

この部分の改正は、2019年4月に実施されました。

 

⒉長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等

2つ目は「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」で、これを実現するために労働基準法・労働安全衛生法・じん肺法・労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の4つの法律が改正されます。

主な内容は、一部の例外を除き月45時間・年360時間を原則とする時間外労働の上限規制、使用者に対する年次有給休暇を一定の日数付与することの義務付け、高度プロフェッショナル制度の導入、勤務間インターバル制度の普及促進、事業者への産業保健機能と衛生管理の強化の義務付けなどです。

殆どの改正は2019年4月に施行されますが、時間外労働の上限規制に関する規定のみ、中小企業基本法で大企業に分類される事業所については2019年4月、中小企業は1年後の2020年4月と段階的に施行されます。

ただし、建設業・自動車運転業・医業の従事者については移行期間が長めに設けられ、2024年4月に施行される予定になっています。

 

⒊公正な待遇の確保

3つ目は「公正な待遇の確保」です。

これは雇用形態などを理由とした不合理な待遇の禁止や待遇説明義務の強化、およびこれらの履行を確保するための行政上の措置や裁判外紛争解決手続(ADR)の導入などによって、同一労働同一賃金の実現を目指すもので、パートタイム労働法・労働契約法・労働者派遣法の3つの法律を改正してこれらの規定を盛り込んでいます。

2019年4月の施行開始時点ではこの部分は改正の対象になっておらず、2020年4月に大企業と派遣会社を対象に先に施行され、2021年4月に全ての事業者に適用されるようになる予定です。

働き方改革関連法案 わかりやすくより一部引用

 

働き方改革関連法の問題点を探る

働き方改革関連法では、法案が成立するまでの課程で多くの問題点が指摘されています。

例えば、長時間労働の上限規制と年次有給休暇付与の義務化は、単純に事業所に導入してしまうと労働者の勤労意欲の低下や特定の従業員への仕事の集中、持ち帰り残業の横行などが起きる可能性があります。

このうち、特定の従業員へのしわ寄せは勤務間インターバル制度においても起こり得るので、これら3つを取り入れる際には事前に十分な検討が必要です。

また、フレックスタイム制については、勤務時間を自分で管理する能力に乏しい従業員が多い職場で導入してしまうと、業務の効率が低下して進捗に支障をきたすおそれがあります。

新聞やテレビなどの報道でしばしば指摘されていた問題点は、高度プロフェッショナル制度に関するもので、特に健康被害に関する点が多くの媒体で指摘されています。

高度プロフェッショナル制度が適用された場合は業務の成果によって支払われる賃金が決まります。

このため、成果が思うように出ていないと、期限までに成果を出そうと長時間労働や多大な負荷がかかる労働が横行し、それが原因で心身の健康が害される可能性があります。

この制度は優秀な人材が多数いる企業ほど、特に慎重に導入するかどうかを検討する必要があるでしょう。

 

最終更新日 2025年7月31日 by urisysym